IT開発ツール初心者のモバイルエンジニアに向けた、DockerとKubernetesの基礎と比較
モバイルネットワークエンジニアとして、無線や4G、5Gについてはよく知っていても、IT開発ツールの話題になると少し距離を感じるエンジニアが多いのではないでしょうか。私もその一人で、ITやプログラミングは初心者です。今回、n8nを使ったワークフロー自動化やWeb開発環境の構築でDockerを試してみたところ、Kubernetesとの共通点や違いが浮かび上がってきました。5G Core NetworkやCloud RANのデプロイではKubernetesが利用されていますが、IT Development環境との違いや気づいた点についてまとめてみました。
以下では、Dockerのアーキテクチャを簡単に解説し、Kubernetesとの比較を交えながら、Kubernetesのメリットをわかりやすくまとめます。対象はテレコム業界のエンジニアで、IT開発環境にそれほど詳しくない方向けです。
モバイルネットワーク構築のイメージで捉えると、信頼性が高く、環境を選ばない部品が必要になります。Dockerは、アプリケーションと依存関係を軽量で独立した「コンテナ」にまとめるオープンソースプラットフォームです。コンテナはラップトップ、サーバー、クラウドのどこでも同じように動作するため、テストやデプロイのトラブルを軽減します。
Dockerの主な構成要素は以下の通りです。
つまり、Dockerはシングルノード環境に適したツールです。単独のgNodeB管理のようなシンプルさがあり、個人プロジェクトや小規模用途に向いています。一方、全国規模の5Gネットワークのようなクラスタ管理が必要なら、Kubernetesが適しています。
DockerとKubernetes(K8s)はどちらもコンテナを扱うため、ライバルというより補完関係にあります。Kubernetesはコンテナ実行にDocker(または互換ランタイム)を利用しています。Dockerが一台のマシンでの基本管理に強い一方、Kubernetesは複数マシンのクラスタをオーケストレーションするエンタープライズツールです。
比較を簡単にまとめてみます。
参考として、機能ごとの詳細な比較を以下の表にまとめました。
| 項目 | Docker (シングルホスト / Compose) | Kubernetes (クラスタ) |
|---|---|---|
| スコープ | シングルノード | マルチノードクラスタ |
| 状態管理 | 命令的 (docker run) |
宣言的 (マニフェスト) + 調整ループ |
| スケジューリング | 手動 / ホストレベル | リソースや制約に基づきスケジューラが決定 |
| サービス検出 | 手動またはCompose内DNS | 組み込みDNS + Service抽象化 |
| 高可用性 | 手動監視やSupervisorが必要 | 組み込み (複製、自己修復、再配置) |
| 更新作業 | 手動スクリプトやCompose機能 | ネイティブなローリング更新・ロールバック |
| ネットワーク | Bridge / Hostモード | CNIモデル (Pod通信、Service Mesh連携など) |
| ストレージ | ホストマウント / ボリューム | PV/PVC (多様なバックエンド、ポリシー管理) |
| 高度な機能 | 限定的 | アフィニティ、Taints/Tolerations、Operators等 |
| 本番適合性 | 単一ホストのアプライアンス向け | 大規模な分散本番環境向けに設計 |
共通点として、コンテナ形式が同じため、DockerのスキルがKubernetesに活きやすいです。違いの核心はオーケストレーションにあります。Dockerがエンジンなら、Kubernetesは指揮者の役割を果たします。
両方を実際に使ってみると、DockerからKubernetesへの移行が自然に思えます。特にテレコムでは、ダウンタイムがサービス中断につながるため、Kubernetesの強みが際立ちます。主要なメリットは以下の通りです。
これらの機能により、分散ワークロードの複雑さを解消します。本番環境でDockerの限界を超える価値があります。
テレコムエンジニアがKubernetesをより深く理解しようと思ったら、Dockerを使って小規模なプロジェクトを試してみるのがおすすめです。基礎を簡単に学べ、Kubernetesのオーケストレーションについての理解が深まります。また、Kubernetesを小さなクラスタ(Minikubeなど)で試してみてもよいでしょう。そうすることで、テレコムでのコンテナ活用が広がるはずです。