Strategic roadmap to KTH (Gy25)

2025年新カリキュラム「Gy25」の下で、スウェーデンの高校からKTH(王立工科大学)を目指すためのプログラム選択と成績戦略ガイド。

KTH Royal Institute of Technology main campus

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1. 高校プログラム選択戦略(Gymnasieprogram)

KTH進学を第一目標とする場合、選択すべきプログラムは実質2つに絞られます。それ以外(EstetiskやSamhällsなど)からの進学は「Naturvetenskapligt basår(科学基礎年)」を追加で履修する必要が生じるため、最短ルートではありません。

各プログラム概要とKTH適合性

プログラム 概要 KTH適合度 特徴
Natur (NA) 理学系。数学、物理、化学、生物を深く学ぶ。 最適 (A+) "Natur-Natur" 専攻を選べば、KTHのすべてのプログラムの入学要件を自動的に満たす。
Teknik (TE) 技術系。工学、IT、デザイン、建築に特化。 非常に高い (A) 工学特化だが、Kemi 1やFysik 2、Matematik 4を意図的に履修する必要がある。
Estetisk / Samhälls 芸術・社会系 低 (C) 必修レベルが低いため、卒業後にKomvuxやBasårで単位を取り直す必要がある。

結論: KTHを目指すなら NA (Inriktning Natur) が最も安全。TE (Teknik) を選ぶ場合は、必ず数学と物理を最大化する選択を行うこと。

プログラム内で選べる科目と戦略

KTHの Civilingenjör(5年制エンジニア)入学には Matematik-fortsättning Nivå 2 (旧 Matematik 4), Fysik 2, Kemi 1 の「Behörighet(前提資格)」が必須です。

1. 数学 (Matematik) の優先度

2. 科学科目の配置計画

3. 加点戦略(Meritpoäng)

最大 2.5ポイント の加算を狙うことが合格への近道です。

2. 大学入学ルート比較(Gymnasiebetyg vs Högskoleprov)

スウェーデンの大学入試は、主に「高校の成績」と「共通テスト」の2つの枠(Urvalsgrupper)で競います。

A. Gymnasiebetyg(高校成績:BI / BII 枠)

B. Högskoleprov(大学共通試験:HP枠)

戦略: 「高校の成績を維持しつつ、Högskoleprovで保険をかける」のが鉄則。2年生の春から受験し、形式に慣れておくことが推奨されます。

3. 科目別戦略と優先順位

4. 進学準備と実行計画(年次計画テンプレート)

År 1 (Gymnasiet 1年生)

目標: 学習習慣の確立と数学基礎の完成。Matematik 1c & 2cで確実に高得点を取る。Moderna språkを継続するか決定する。

År 2 (Gymnasiet 2年生)

目標: 最も負荷が高い時期。Matematik-fortsättning 1c & 2c (旧 Matematik 3c & 4), Fysik 2, Kemi 1が山場。Högskoleprovの試し受験を開始し、弱点を把握する。

År 3 (Gymnasiet 3年生)

目標: 最終成績の最大化。Matematik-fördjupning (旧 Matematik 5)やEngelska Nivå 3 (旧 Engelska 7)を履修。Gymnasiearbete(卒論)で高評価を狙い、4月15日までに出願完了。

5. Gy25(Ämnesbetyg)の決定的な違いと計算例

最大の違いは、「成績の挽回が可能か(上書きルール)」 という点です。 これまでのシステム(Gy11)では、一度取った科目の成績は「確定」され、後から成長しても計算上は低いまま残りました。新しいGy25 では、教科(Ämne)としての最終的な到達レベルが評価されるため、「終わりの良さがすべてを上書きする」 という仕組みに変わります。

Gy25のämnesbetygシステムの基本原則

Gy25は、2025年7月1日から施行された新カリキュラムで、上級中等教育(Gymnasieskolan)と成人教育(Komvux)の両方に適用されます。従来のkursbetyg(コース別評価)からämnesbetyg(科目別評価)に移行し、以下の特徴があります:

具体例:英語(Engelska)の場合

シナリオ: 高校1年生で英語が少し苦手だったが、高校2年生で猛勉強して得意になった生徒。

1. 旧システム (Gy11: Kursbetyg)

コースごとに成績が独立して確定。1年目の「C」は卒業まで計算に残ります。

  • Engelska 5 (100p) × C (15点) = 1,500
  • Engelska 6 (100p) × A (20点) = 2,000
  • 合計: 3,500 ÷ 200p = 平均 17.5点 (B相当)

結果: 1年目のCが足を引っ張り、満点(20.0)になりません。

2. 新システム (Gy25: Ämnesbetyg)

教科全体として評価。高いレベルでAを取れば、過去の成績もAとして上書きされます。

  • Engelska (合計200p) として評価
  • 最終レベル(Nivå 2)がA ⇒ 教科全体がA扱い
  • 計算: 200p × A (20点) = 4,000
  • 合計: 4,000 ÷ 200p = 平均 20.0点 (A相当)

結果: 最終的に実力をつければ、成績は満点(20.0)に挽回可能です。

リスクシナリオ: Nivå 3 (旧 Engelska 7)を選択し成績 Eを取った場合

数学(Matematik)の特殊ルール

KTHを目指すあなたにとって重要な数学には、この「上書きルール」に伴うリスクを避けるための安全策が用意されています。 もし「数学1〜5」がすべて一つの教科だと、レベル5(非常に難しい)で失敗した時にレベル1〜4の成績まで下がってしまう恐れがあるため、Gy25では数学が複数の「教科」に分割されました。

戦略的アドバイス:

Gy25は 「諦めない生徒」 に圧倒的に有利なシステムです。同じ科目内であれば最初に多少つまづいても、その教科の最終レベル(Fysik 2やMatematik 2c)で高得点を取れば、高評価を得られるチャンスがあります。

6. Engelska Nivå 3 (旧 Engelska 7)の実態と戦略

Engelska Nivå 3は、スウェーデンの高校における英語の最高レベル(選択科目)であり、日本の一般的な高校英語とは質・難易度ともに大きく異なります。

難易度の目安(比較表)

指標 Engelska Nivå 3のレベル感
CEFR C1 (Advanced)
- ネイティブに近い運用能力が求められるレベル
実用英語技能検定 「1級」に相当
- 合格(E判定)するだけでも準1級上位の実力が必要。最高評価(A判定)を取るには1級合格レベルの語彙と構成力が不可欠。
IELTS / TOEFL IELTS 7.0 ~ 7.5 / TOEFL 100点前後
- 多くの海外大学院への進学要件を満たすレベル
日本の大学入試 東大・京大・早慶(国際教養)の2次試験以上
共通テスト(旧センター試験)レベルは遥かに超えています。

何が「難しい」のか?(質の違い)

日本の高校英語との決定的な違いは、「英語を学ぶ」のではなく「英語で思考し、論じる」授業である点です。

日本人留学生にとっての「壁」

スウェーデンのクラスメートは幼少期から英語メディアに触れており、ほぼネイティブと同等の流暢さを持っています。

それでも取るべきか?(戦略的判断)

KTHを目指す場合の判断基準:

戦略アドバイス:

もし現在の英語力が「英検準1級ギリギリ」程度であれば、Engelska Nivå 3で「A」を取るのは至難の業です。無理をして成績(Betyg)を落とすと元も子もありません。

Resources & links